有機化学問題集

問題1. 有機化合物の構造と化学結合

問題編

確認問題

確認問題1.1

次の分子の
a.Lewis構造式 b. ケクレ構造式 c. 骨格構造式
を示せ。

①エタン(C2H6)
②アセチレン(C2H2)
③ベンゼン(C6H6)

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確認問題1.2

a. 硫黄原子(原子番号16)の基底状態の電子配置を図示せよ。
b. 次の図は酸素原子の電子配置を示したものである。

酸素原子の電子配置

これは基底状態か励起状態か。

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確認問題1.3

a. アンモニア(NH3)とホルムアルデヒド(HCHO)の炭素原子の混成はどのようになっているか)。

b. メタン分子の炭素ー水素σ*軌道を1つ図示せよ。

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確認問題1.4

a. メチルアミンのC-N結合に関して、それぞれの原子の混成軌道から結合性軌道と反結合性軌道ができる相互作用を図示せよ。エネルギー準位の序列に注意すること。

b. シクロペンタンとシクロプロパンの炭素-炭素σ結合について軌道のs性が大きいのはどちらか。

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解答編

確認問題1.1

解答の構造式は以下の通りです。

確認問題1.1

骨格構造式が複雑な分子の描画に適していることがわかると思います。

確認問題1.2

a.

硫黄原子の電子配置

3つの規則(構成原理・Pauliの排他律・Hundの規則)に従うと上に示したような電子配置になります。

b. 

A.基底状態

3つの規則に従っているので基底状態になります。

確認問題1.3

a.

アンモニアとホルムアルデヒドの混成軌道

π結合の数を数えることで、軌道の混成はある程度予測が可能です。

b. 

メタンの反結合性軌道

符号を逆にして重ね合わせるため、節面が一つあるのがポイントです。

確認問題1.4

a.

メチルアミンのσ結合

窒素原子、炭素原子ともにsp3混成軌道を取ります。

窒素原子の方が電気陰性度が高いので窒素原子のsp3混成軌道の方がエネルギー準位が低く、σ軌道に近いのもポイントです。

b.

A. シクロペンタン

5員環のシクロペンタンと3員環のシクロプロパンでは、シクロプロパンの方が炭素ー炭素ー炭素の結合角が小さく歪んでいます。

歪んでいるほどp軌道の結合角90°に近づくため、s性は低く、p性は高くなります。

逆にC-H結合の方は、残されたs性が反映されるので、よりs性の残っているシクロプロパンの方が、s性が高い軌道になっています。